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「アリは働き者」という神話―『奴隷狩り』から『爆発アリ』― (2004.08.13 Friday) [セコい神話]
 ●旧約聖書でも「アリは働き者」だった
 「アリとキリギリス」の童話を見るまでもなく、「アリさんが働き者」というのは日本人の基本認識だと思います。

 この「アリは働き者」という話のルーツは非常に古く、なんと旧約聖書にも出てきます。「アリとキリギリス」の童話が出てくるイソップ物語は、紀元前5〜6世紀にまとめられたのですから、アリが働き者というのは紀元前の時代から自明のことだと認識されていたのでしょう。
 フランスの詩人ラ・フォンテーヌの寓話では、アリにエサをもらうのはキリギリスではなくセミになっています。普通に考えればセミの寿命は一週間ですから、怠けてたら飢える前に死ぬと思うんですけど、そこまで深く考えていないそれほどまでにアリは働き者だということです。

 ●アリは本当に働き者か?
 しかし、そもそも働きアリが本当にずっと働いているのかを観察した人はいません。アリは巣穴に住んでいるので、当然ながら人間の目には内部がどのようになっているかを観察することは出来ないからです。人間の目に映るのは外に出ているとき。即ち仕事に行くときだけですから、せっせと働いているように見えるのは当然でしょう。
 ずっと家にいるひきこもりがエロ本を買いに外に出たら、たまたま出会った近所の人に「本屋さんでお勉強?偉いわね」とか言われるようなものです。

 このアリの巣穴の中を自然で見る方法は、現在でもありません。そこで観察用の箱を用意して、その中にアリの巣を移して観察するという方法が取られています。

 その人工的なアリの巣を研究して分かったのは、アリが忙しく働いているのは幼虫がたくさん生まれた時や外敵が進入してきたときだけで、それ以外ではほとんどじっと休んでいるということです。それに、働き期間でもずっと働いているわけではなく、外から帰ってきたらどっこらしょと休んでいるやつもいます。もちろん、巣穴の中ですから人間の目には触れません
 アリさんが働き者に見えるのは、ただ単に巣穴が土の中にあるからというだけなのです。

 北海道大学大学院農学研究科の研究では、それ以外にも純粋に怠け者のアリが存在することが発見されています。

 その研究によると、一生懸命働いているアリがいる一方で、ほとんど仕事をせず、中には全く働かないアリもいました。怠け者の割合は全体の10〜20%で、じっとしていたり、巣の中をうろうろしたするだけで、エサを食べることすら、エサを集めてきた働きアリから、口移しでもらっていたそうです。

 このアリの口移しの説明として教授はずっと以前に「アリさんが仲間思いの証拠だ」とかいうものとして聞かされたことがあるのですが、話を聞いている限りはただの怠け者のようです。

 しかも、この働きアリと怠けアリを分別しても、やっぱり働き者は働き者で怠け者は怠け者でした。アリの世界でも「ダメな奴はどこにいってもダメ」のようです。
 このことを研究者は「働かないアリにも何か役割があるのかもしれない」と評価しているのですが、人間にあてはめたら「ひきもこりにも何か役割があるのかもしれない」と評価してくれるのでしょうか?

 教授的には、「怠け者にも役割があるに違いないと思って研究したらやっぱりただの怠け者でした」という研究結果を希望。

 ちなみに、この割合はアリ種類によってかなり違います。北大研究グループはカドフシアリの研究をしていましたが、基本的に昔から存在するアリは怠け者の割合が多く、後から出現した類のアリは本当に勤勉です。ハリアリは、働き者がわずか1割しかいないという怠け者王国なのですが、ハキリアリという種は9割が働き者です。

 雑学解剖研究所さんでは、「アリが協力して働くのはウソ」という興味深い記事を掲載しています。
実は、アリは協力して獲物を運んでいるのではなく、それぞれが勝手な方向へ引っ張っているのである。そう、アリたちは自分勝手な方向へエサを引っ張り、独りよがりに仕事をしているのであって、決して協力しようとか手を貸そうなどと考えているわけではないのだ。
 この話の元ネタは、ちょっと教授には分からないのですが、本当だったら面白いですね。

 ●他アリに働かせるアリ
 まあ、働き者と怠け者がいても、普通のアリ社会として機能している分だけマシなのかもしれません。

 皆さんは、巣からアリが卵のようなものを加えて移動しているのを見たことがないでしょうか?これは「アリの引越し」と言われて、アリさんが勤勉に働いている証拠として取り上げられるのですが、実はこれ引越しは引越しでも、サムライアリというアリが奴隷を作るためにやっている行為なのです。

 サムライアリは凶暴なアリで、戦闘能力は優れているのですが、戦い以外は何も出来ません。そこで、クロヤマアリの巣を襲撃して、繭や蛹を奪い自分の巣へ持ち帰ります。これを「どれい狩り」といいます。
 こうしてサムライアリの巣で孵化したクロヤマアリは、奴隷としてサムライアリに使役されます。もちろん孵化するまでの世話は以前から奴隷だったクロヤマアリの仕事です。
 クロヤマアリの寿命は大体2年程度なので、「奴隷の在庫」が切れるたびにサムライアリは略奪を行います。

 ここで疑問に思う人がいるかもしれません。「以前からのクロヤマアリが世話をするって言うけど、一番最初のクロヤマアリはどこから来たの?」と。
 確かに、最初から奴隷が存在するわけではありません。そこでサムライアリの女王はクロヤマアリの巣をのっとろうとします。

 まず、クロヤマアリの巣穴を見つけてそこに進入し、女王アリを殺します。そしてその代わりに女王の椅子にふんぞり返って巣をのっとるのです。もちろん、この時一部のアリは抵抗しますが、フェロモンのせいか少し立てばアリの抵抗は収まり、クロヤアマリは新しい女王に忠誠を誓うのです。もちろん、女王が生むのはクロヤマアリではなくサムライアリです。
 こうして、新たなサムライアリのコロニーが出来があります。

 だから、このアリの引越しを見ても迂闊に「アリさんは働き者だ。見習え」と言ってはいけません。「赤子を略奪して奴隷にする行為を奨励しているんですか?」と切り替えされるかもしれませんよ。

 ●寄生するアリされるアリ
 働きアリほど過激ではありませんが、アリの中には他種のアリに寄生する、「寄生アリ」と呼ばれる種類がいます。
 クロクサアリの女王は、クロヤマアリにおけるサムライアリのように、アメイロケアリというアリの巣穴をのっとります。
 サムライアリと同様クロクサアリの女王は子どもをどんどん生みますが、アメイロケアリの数は増えませんので、寿命でどんどん数が減っていきやがて死滅します。クロクサアリがサムライアリと違うのは、クロサクアアリ自体が働き者だと言うことです。ですので、最初に寄生したらあとは再び略奪にいったりはしません。

 ●爆発するアリとか麻薬中毒のアリとか
 アリは世界中で一万種以上いると言われているので、中にはとんでもないアリもいます。
 カメアリという頭部が皿のようになっているアリがいるのですが、この石頭を何に使うかというと、巣穴の蓋にして外敵の侵入を防ぐのです。凄いですね。人間に例えれば、尻で虫の入ってくる窓の隙間を防ごうとかいう発想でしょうか?

 名前が分からないのですが、マレーシアでは爆発アリとかいうのがいるそうです。そのアリをつまむと指の中で、いきなり爆発します。忍者の末裔だと思われます。忍法微塵がくれ。和名はニンジャアリで決定ですね。

 他には「泡吹きアリ」というのもいます。つかまえるとブクブクと泡を吹き出して最後にはアリの姿が見えなくなってしまうのです。進化論的に説明すると、カニが進化する際にアリに突然変異したと考えられます(大嘘)。

 沖縄に住んでいる「キイロハダカアリ」というアリは最初に生まれたオスが、他のオスを全て殺します以前書いた文章で、別のオスが生んだ子どもを殺すチンパンジーの話題を出しましたが、キイロハダカアリは血の繋がった兄弟を、全滅させるのですから恐ろしさが違います。もっとも、この類のアリは極めて稀で、ほとんどのアリは仲良しです。

 また、アリのコロニーはアリだけが住んでいるわけではなく、全く別の昆虫がいる場合もあります。アリの巣の中で住んでいる昆虫の一種に「ハケゲアリノスハネカクシ」というのがいるのですが、このアリはアリを夢中にさせる麻薬のような液体を分泌します。
 この液体に夢中になったアリは子どもを育てる役目も忘れて吸い続けるので、子どもは栄養失調となってコロニー存亡の危機に陥ったりします。真面目なアリさんも麻薬には勝てません。ああ無常。

 ●害虫としてのアリ
 そもそも、「アリさんは働き者だから見習え」とかいうのは、アリが害虫ではないと日本人やヨーロッパ人が思っているからです。「蚊や蚤は自分の何百倍も大きい人間に立ち向かう勇気ある生物だ」とか「ゴキブリはどんなとこでも住めるから見習いなさい」なんて言いません(正確には寒い地方には住めませんが)。

 しかし、ブラジルではアリは害虫として認識されていて、国家として対策に乗り出しています。アリは国家が対決するものなのです。

 ブラジル特有のアリとして「ハキリアリ」というのがいます。このアリは葉っぱを巣穴にもちこんで小さく切り刻みキノコを栽培するために使います。そのため、農業するアリとしても有名です。

 しかし、彼らが切る葉の量は非常に多く繁殖量旺盛なため、農産物が多大な被害にあっています。
 「人がハキリアリを滅ぼすかハキリアリが人を滅ぼすか」という言葉が生まれるぐらいで、被害総額がブラジル国家予算の10%にも達した年がありました。
 本当かどうか知りませんが、ハキリアリの巨大な巣が家を転倒させたという話もあるぐらいです。

 アリの被害に悩まされているのはアメリカも同様で、1980年代にファイヤーアントというアリが外国から港町を通してアメリカに侵入してしまいました。
 このアリは繁殖力が非常に高いため、元々の生態系を破壊して増殖しています。しかも攻撃性が強いうえに毒をもっているので、間違ってファイアーアントのアリ塚を踏んでしまうと、一瞬で足にたかられ噛みつかれます。
 噛みつかれた足は、火傷したかのように腫れあがるという恐ろしいアリなのです。

 アリは人間の幻想によって、神格化されている面もありますが、なんら他の昆虫とは変わらりません。
 怠け者もいますし働き者もいますし、面白い行動をするやつもいます(爆発とかありえない)。人間に多大な被害を及ぼすものもいます。変にアリだけ働き者と見なして特別視しないで、普通の視線でアリを眺めれば、また違った見方が見えるかもしれません。


・旧約聖書でも「アリさんは働き者」です。
・アリは働き者だけではなく怠け者もいます。
・アリが働き者に見えるのは外から怠け者が見えない巣穴に住んでいるからです。
・自分は怠けてどれいに働かせるアリもいます。
・人間に多大な害を与え、殺すこともあるアリもいます。
・マレーシアのアリはニンジャの末裔です。

 参考:ありとあらゆるアリの話
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